【Exhibition】そとのあそび展 ~ピクニックからスケートボードまで~(前編)
アクアラインの渋滞を駆け抜けてると開けた景色が広がる。
房総半島の真ん中あたりに位置する、市原湖畔美術館。
高滝湖のほとりの景色に馴染んでいた。
9月末まで行なわれる「そとのあそび展」の初日。
到着するとちょうどアーティストによる作品解説が始まった。
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エントランスの吹き抜けに聳えるように展示されていたのはsnipe1の作品。
常設されている立体作品を取り囲むように、様々な技法でレタリングやキャラクターが踊っていた。
「これは作品を空と美術館の繋がりだけではなく、街(ストリート)と美術館を繋げています。」
常設作品も空と美術館を繋げるイメージで作られており、 今回の作品にはそういった「場(スポット)が持つ文脈」が生かされている。
どこに何を書くか?は、書き手の資質が問われるグラフィティの重要なエレメントだ。
snipe1が国内外にもたらしている様々なネットワークがこうして更に拡張されていく。
数年後2018年を振返った時、本作の意味合いはより深いものになっているに違いない。
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こうした場所選びをひとつの「探検」として捉えていたユニークな作品があった。
高田光の「感触の風景」だ。
同じくグラフィティカルチャーをバックボーンに持つアーティストで、 本作のちょっとした「見つけた感」は、ストリートのそれそのものだった。
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今回の作品展は「そとのあそび」をテーマにしており、「そとのあそび」や、そこから派生した表現を紹介している。
ピクニックや路上観察、釣り、クライミング、スケートボードなど、館内には様々なアプローチの作品が並ぶ。
EVERYDAY HOLIDAY SQUADの「アートと交換された魚」は、目の前の高滝湖で釣り上げられたブラックバスが水槽に佇み、それを展示する為に取得された特定外来生物の飼育許可書が壁面に書き写された作品だ。
1925年に「アートと交換された」とも言える形で日本に持ち込まれたブラックバスが、 90年以上の時を経てアートとして展示されている。
また、館内のモニターではこのブラックバスが釣り上げられる様子が映し出されており、「これまで一回も美術館に足を踏み入れたことがなかった」というアングラー達との繋がりを紹介している。
こうしたコンテキストが作品の輪郭を形作っている。
高滝湖は古くから周辺エリアの治水を支えてきたダム湖。 西日本で甚大な水害があった2018年夏だけに、その土地の営みを通した表現に重みを感じた。
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美術館の外に出ると大きな塔のようなものが見える。
かつて周辺地域の農業用水を汲み上げる為に、揚水機が用いられており この塔の正体はそれを模したオブジェだった。
長い階段を登ると美術館の全貌が見渡せる。
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(出展:Pizzeria BOSSO)
美術館に併設されたPizzeria BOSSOは房総食材を使用した湖畔のレストラン。
見応えのある作品展なので、昼食をとりながらのんびり休憩するのも良い。
美術館の屋内外には、鈴木ヒラクやクワクボリョウタの作品が常設されている。また湖畔には昔ながらのスワンボートも用意されている。
美術館の中や外を行き来しながら、小学生の夏休みのように、気ままに鑑賞するのも面白い。
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(出展:市原湖畔美術館)
【展覧会概要】 主催:市原湖畔美術館 会期:2018年7月14日(土)~9月17日(月・祝) 開館時間:平日/10:00-17:00、土曜・祝前日/9:30~19:00、日曜・祝日/9:30~18:00 休館日:月曜日(祝日の場合は翌火曜日) 料金:一般800円/大高生・シニア(65歳以上)600円。中学生以下・障害者手帳をお持ちの方とその介添者(1 名)は無料。 共同企画:SIDE CORE
公式HP http://lsm-ichihara.jp/exhibition/2018/summer