【Exhibition】そとのあそび展 ~ピクニックからスケートボードまで~(後編)
市原湖畔美術館で9月まで行われている「そとのあそび展」。
初日に行われたアーティストトークを元に、いくつかの作品を紹介したい。
※前編はコチラ
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エレベーターで屋上に上がると、ジリジリと照りつけるような日差しに晒された。
目に飛び込んできたのは、ドラム缶に水がしたたる何とも涼しげな作品だ。
森山泰地「water」
一連の立体物で構成された本作品は、ダム湖である高滝湖をモチーフにしている。
天候や用水需要により変化する水かさに着目。
鑑賞者が何らかの形でこの立体物に干渉すると、作品がその姿を変えていく。
例えば冷蔵庫に入れられた水と、鉄製のカゴに投げ込まれたペットボトルの空き容器。 これらは鑑賞者によって投げ込まれ、その日の暑さによって飲まれる量が変わる。 すると鉄製のカゴの様相も変化する…といった具合だ。
初日の時点で投げ込まれたペットボトルは48本。
連日真夏日を記録している今年の夏を終える頃には何本になっているのだろう。
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菊地良太「夏の尊景」
フリークライマーでもある作者自身が美術館の至る所をよじ登っている。
「これどうやって撮ったの…」といった写真や動画が展示され、想像力がかきたてられる。
夏の突き抜けた空と馴染んだ作品は清々しく、美しかった。
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森田貴宏「フリーハンド(freehand)」
再び館内に場所を移す。
本展のテーマは「そとのあそび」。そんな遊び心を最も強く感じたのがこの作品だ。
スケートパークさながらの展示スペースには、幾重にも重なった無数のラインが引かれている。
作者でありスケーターの森田氏が、スケートボードに取り付けた筆で引いたものだ。
大胆なストロークが作者の身体性をイキイキと表現している。
「この角度はかなり上級者向け」というだけあって、筆跡は大人の肩の高さにも達していた。
この日は子どもたちも多く訪れており、館内に置かれたボードやバランスボールで思い思いに作品を体験していた。
ひとつ上のフロアからは、この作品の全貌を俯瞰することができ、鑑賞者の動線とそこに描かれた線を重ねてみるのがまた面白かった。
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その他、書ききれないのが残念だが小畑多丘による映像作品(!)や、高橋臨太郎による島(!!)などなど見所が多く、1日かけてゆっくり愉しめた。
クライマーの目に映る街の凹凸。
スケーターの目に映る道の起伏。
グラフィティーライターの目に映る“オイシイ”場所。
本展ではアーティストの多様な視点を、鑑賞者に投げかけている。
とりわけ公共空間をフィールドに活動するアーティストの視点はユニークで、日々過ごす街の景色すら鮮やかに変えてくれそうだ。
少し涼しくなった夕方に、物思いに耽りながらぶらぶらと街を歩きたくなった。
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【展覧会概要】 主催:市原湖畔美術館 会期:2018年7月14日(土)~9月17日(月・祝) 開館時間:平日/10:00-17:00、土曜・祝前日/9:30~19:00、日曜・祝日/9:30~18:00 休館日:月曜日(祝日の場合は翌火曜日) 料金:一般800円/大高生・シニア(65歳以上)600円。中学生以下・障害者手帳をお持ちの方とその介添者(1 名)は無料。 共同企画:SIDE CORE
公式HP http://lsm-ichihara.jp/exhibition/2018/summer